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大長みかん

まさに、瀬戸内の宝!
「大長みかん」のふるさとへ

2015/10/27
取材者/さくら

穏やかな瀬戸内海に浮かぶ島々を結ぶ安芸灘とびしま海道を走ること40分、大崎下島に着きました。大きなミカンが乗っかった電話ボックスがかわいらしい大長港のすぐ近くにあるのが大長ブランドで有名なJA広島ゆたか。ここから島内の果実は出荷されます。今回はJA広島ゆたかの山根さんにミカン畑へ連れていっていただきました。

さあ、ミカン畑に出かけよう

ゲシの見事な段々畑

山根さんの車に同乗し島内を走ると、鮮やかなグリーンが目を楽しませてくれますが、ミカンは一体どこにあるのといった感じです。「今は緑一色ですが、秋になるとミカンが色づき、きれいなオレンジ色に染まり、それは見事ですよ」と山根さん。秋にまた来たいなと考えながら、次に目に入るのが、あちこちにある段々畑。来る途中、上蒲刈島で、まるでジブリの世界のような採石場を見かけ、感動を覚えましたが、それがミカン畑とも関係していました。平地が少なく、急傾斜の多い岩盤の山に先人たちがこつこつと「ゲシ」と呼ばれる石積みの段々畑を築き、水はけのよいミカン畑を造りあげたとのこと。全て人力で行われたという作業。その努力の甲斐があって、今の「大長みかん」があるわけですね。

桃栗3年、柿8年、ミカンは???

せん定作業の様子

「大長みかん」の木は実をつけるまでに4年、さらに出荷ができるようになるには5、6年かかります。土づくりやせん定作業をしながら大切に育てるので50年ぐらいは実を付け続けるとのこと。ミカンの木の下に小さなカボスのような実がコロコロと転がっているのが目につきます。「この時期(8月)は、小さいものや逆に大き過ぎるもの、傷のあるミカンを木から落としていく摘果作業をしています」と山根さんが教えてくださいました。暑い夏場の作業・・・生産者のみなさんの苦労がしのばれます。

「大長みかん」のおいしさの秘密

日光・照り返し・潮風に恵まれて・・・

おいしいミカンを作るために必要なことって何なのでしょうか?山根さんに聞くと「まずは、日光。この島のミカンたちは、空からと、海からの照り返しで、いつも2倍浴びていますからね。今年は雨も少ないですし」と答えが返ってきました。えっ、今年はしょっちゅう大雨洪水警報が出て、雨も多かったはずでは?「不思議なもので、本土に雨が降っていても、この島は降らないんですよ」と山根さん。本当に不思議・・・でも、この島の気候はミカンのうま味を凝縮させるのにうってつけなのですね。もう一つ欠かせないのが潮風。山根さんいわく「これはスイカに塩をかけるのをイメージしてください。科学的に解明されてはいませんが、おそらくそうだと我々は思っています」とのこと。

甘さと酸味のバランスが特長

鮮やかなオレンジ色は瀬戸内の恵みの結晶

この辺りで育てられた温州ミカンが「大長みかん」として出荷されます。温州ミカンは大きく「早生(わせ)温州」と「晩生(おくて)温州」に分けられます。早生温州は10月中旬頃から店頭に並ぶ、皮や袋が薄くて食べやすい、甘いのだけど酸味も強いタイプのもの。晩生温州は12月頃から収穫され、皮も厚く袋も固くなりますが、味がとても濃厚なのでミカンジュースや缶詰などの加工用原料にもなります。甘くなればなるほど酸味も強まり、うま味を持つミカンになるとのこと。

大長選果場を見学

手前が光センサー。出荷される商品は全てここを流れる

最後に訪れた大長選果場。中にはとても大きな選果機がありました。全国でも初めてか、二番手かといった感じで、平成12年に機械を導入しました。機械の光センサーによりうま味や大きさを仕分けしますが、最後は人の目で艶や風合いを選別しているとのこと。最高ランクの「大長ミカン」は大きさに関係なく糖度が13度以上あるものです。最高級品は出荷箱に赤で「秀」と表示されます。赤の秀・・・ぜひ、味わってみたいですね。

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